8月23日(土)、新宿野村ビル48階の野村コンファレンスプラザ新宿において、「住まいるセミナー」を開催しました。本誌夏号から読者のご要望が高かった「食」にスポットをあてた「おいしいテーブル」が始まり、これを機に、「住まいるセミナー」でも初めて「食」をテーマとして取り上げましたところ、定員を多数超える応募がありました。講師は渥美真由美先生。栄養の知識と健康的なお料理を作れる調理力&食事選択力を広めることをモットーに多方面でご活躍中の先生が、日頃の「食」の質を高める方法をアドバイスしてくださいました。
セミナーの第一部は講演。毎日の食事をちょっとした工夫でバランス良いものに変えることができると語る渥美先生。休憩を挟んで第2部では、先生のおすすめカンタンお料理を実演していただきました。
人間のからだを作る栄養素は、タンパク質(主菜)、糖質・脂質(主食)、ビタミン・ミネラル(副菜)に分類されます。このバランスが崩れてしまうと、夏バテなどを招きやすくなります。
皆さんご自身のお食事を振り返ってみましょう。タンパク質や糖質・脂質、ビタミン・ミネラルのバランスはとれていますか?糖質・脂質ばかりに偏っていない、ビタミン・ミネラルが不足していないか…お料理の中にどんな食材が含まれていたかも思い出しながら、食べたものをチェックしてみましょう。栄養バランスの良い食事をとるのは意外と難しいもの。とはいえ毎日、栄養バランスのことばかり気にしすぎるのもストレスの元になってしまいます。日頃のお食事の際は、3つの栄養素を意識してトッピングを選んだり、サイドディッシュを1品足したりするのがおすすめ。ちょっとした意識の持ち方で、毎日の食生活がきっと変わってくるはずです。
炭水化物は野菜や果物にも含まれています。また、いくらにも少量含まれています。どの食品にどんな栄養素が含まれているか知っておくとバランスのよいメニューを組み立てやすくなります。
知ってるつもりで意外と知らない栄養の基礎知識をクイズ形式でチェック。
具8割スープとは、読んで字のごとく具材が8割のスープです。有り合わせの野菜にタンパク質の具材を合わせて煮込むだけ。とっても簡単に作れます。この具8割スープの良いところは、野菜をたっぷり食べることができて、タンパク質も併せて摂れること。日頃どうしても野菜不足になりやすい方には特におすすめしたいですね。
この具8割スープに主食をプラスすれば、栄養バランスの良い食事ができます。具がたっぷりで汁が少なめなので、塩分の取り過ぎを防げるメリットも。ベースとなるだしの旨みと、味付けや香辛料の組み合わせで、和・洋・中・エスニック…とバラエティ豊かになりますから、ぜひいろいろな組み合わせを楽しんでみてください。
鍋に水を張り、鶏肉と昆布を入れて弱火にかけます。鶏肉にしっかり火が通ったら、昆布と鶏肉は取り出しておきます。
昆布と鶏肉で出汁が出たスープを再び火にかけ、刻んだ食材を火が通りにくいものから鍋に入れていきます。
大根は拍子木切りにしました。形を変えるだけでも雰囲気が変わります。今日はいちょう切り、明日は千切りなど工夫してみましょう。ネギは斜め切りです。
きのこ類も鍋に入れましょう。具材に迷った時はきのこを使うと便利です。値段も安いですし、スープに旨みが出ます。食物繊維、カルシウムの吸収を助けるビタミンEなど栄養も豊富です。また、きくらげは食物繊維と鉄分が多く、美の食材といわれています。
水菜は最後にざくざく切って投入します。
出汁に使った昆布は捨ててしまうのはもったいないので、細切りにして再投入。これで海藻もとれますよ。
鶏肉は手で割いて投入します。細かく割くと煮込んだ時にいい味が出ます。
スープの味付けはシンプルに、塩、こしょう、しょうゆで。化学調味料は使いません。中華風にしたいなら、オイスターソースやごま油を加えるといいでしょう。
これを煮込んで、具8割の鶏胸肉さっぱりスープの完成です。盛りつける時も、具をたっぷり、汁は少なめにしましょう。
「からだを作るのは毎日の食事であり、今だけでなく未来のことも考えながら、毎日のメニューを選びたいですね」とセミナーの最後に渥美先生からのアドバイスがありました。好きなものばかり食べてしまうのも良くないですし、かといって食事作りが負担になるのも良くありません。何事もバランスが大事なのですね。来場者の皆さまからは「3つの栄養素の分類がわかりやすかったので生活に取り入れたい」「具8割スープ、早速作ってみたい」といったご感想をいただきました。
管理栄養士、フードコーディネーター、健康運動指導士。保育園勤務で離乳食・乳幼児食・アレルギー食に携わり、料理教室の講師を経てフリーランスに。現在は株式会社meal navi取締役を務める。テレビや雑誌など多方面で活躍中。2児の母。
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