“カワイイ”が あふれる
世界遺産の商都


マレー半島とボルネオ島北部からなる日本よりひと回り小さい東南アジアの国、マレーシア。マレー系、中国系、インド系のほか多様な民族で構成され、イスラム教が国教だが仏教、ヒンドゥー教、キリスト教、道教、シーク教なども信仰されている。首都クアラルンプールからバスで約2時間、世界遺産の町・マラッカに着く。1396年、この地にイスラム教のマラッカ王国が建国されてマレーシアの歴史ははじまった。インド洋と太平洋をつなぐマラッカ海峡の貿易港・商都として栄えたゆえに、大航海時代から長きにわたってポルトガル、オランダ、イギリス、日本の統治を受けた。そして現在、さまざまな国や人々がもたらした文化はこの地でゆるやかに融合し、美しい色彩の花を咲かせている。ちなみにマレーシアの国花はハイビスカス。一つひとつの花の寿命は短いが、次々とつぼみをつけて新しい花を咲かせ続けるたくましい花だ。

写真のオランダ広場はマラッカのシンボル。インパクトがある赤紫色のかわいらしい建物が目に飛び込んでくる。十字架の建物は1753年、オランダ統治時代に建てられたムラカ・キリスト教会。奥の同じ色合いの建物は1650年築のスタダイス。オランダの総督邸として建てられた東南アジア最古のオランダ建築で、現在は歴史・民俗誌博物館になっている。オランダ広場からマラッカ川にかかる橋を渡り、オランダ語で「商業」を意味するジョンカー・ストリート(ハン・ジュバッ通り)に行くと、1階が商店、2階以上が住居となっている伝統家屋のショップハウスが軒を連ねる。その多くには15~16世紀、中国から渡ってきた人々が現地の女性と結婚してうまれた子孫・プラナカンが住み、雑貨店や食堂・カフェを営んでいる。ニョニャ食器やビーズサンダルなど、中国とマレー、西洋を融合させたテイストの、華やかでかわいいものであふれていて、見ているだけでも楽しい。通りの賑わいはマラッカ王国建国当初とも約400年前にオランダ人がこの街をつくった当時とも違うが、商都としてのDNAが今も脈々と受け継がれているように思うのだ。あたかもハイビスカスの花のように。




マラッカといえばビーズサンダル。カラフルなビーズで彩られた、ハンドメイドのかわいいサンダルは土産ものとしても人気が高い(左)。
オランダ広場は観光の起点でもあるため、常にトライショーと呼ばれるカラフルでかわいい装飾の人力タクシーが客待ちをしている(中央)。
オランダ広場から階段で丘に登ると、1521年にポルトガル人によって建てられたセント・ポール教会跡がある。マラッカの街や海が一望できる展望スポットでもある(右)。

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アザーカット
Other Cut マラッカのチャイナタウンで 「カワイイ」を探して街歩き

  • チャイナタウンはジョンカー通りを中心に広がっている。通りを彩る15〜19世紀に建てられた化粧漆喰のカラフルなショップハウスは現在、プラナカン文化の発信基地になっている。

  • 花やつる草模様のモチーフ、明るいパステルカラーがプラナカン・スタイルの特徴。

  • 建物、装飾タイル、民族衣装、手芸細工、食器など、街のあちらこちらで「カワイイ」を発見できる。

  • チャイナタウンにある1646年築のマレーシア最古の中国寺院、チェン・フン・テン寺院。豪華で細かな装飾が内外に施されている。本堂の屋根の動物の像がかわいらしい。

国名 : マレーシア
首都 : クアラルンプール(Kuala Lumpur)
面積 : 約33万㎢
人口 : 3,275万人(2021年現在)
言語 : マレー語
交通 : マレーシアの首都クアラルンプールへは羽田空港や成田空港からマレーシア航空、日本航空や全日空を利用して約7時間30分、空港から市内へは鉄道やバスを利用する。マラッカへは市内のバスターミナルから約2時間で到着する。東京からクアラルンプールへは往復約8万円(サーチャージは別)。(時期により変動あり2022年10月現在)
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