
水面に映える 風車群は
オランダの原風景

ライン川の下流に広がる湿地帯に位置するオランダは、450km以上にわたり北海と接する海岸線の影響も受け、国土(日本の九州ほど)の4分の1が海抜0m以下にある。そのため水との戦いと共生の歴史を歩んできた。オランダの風景というと思い浮かぶ巨大な風車は、小麦の製粉用だったのを干拓地の排水用に転用・改良し大型化したもので、最盛期の19世紀中頃には約9,000基が稼働し、農業王国として発展するオランダを支えた。その役割はやがて蒸気エンジンのポンプに取って代わられ、現在は約950基を残すのみだ。
その中で、世界最大級の港を持つオランダ第2の都市、ロッテルダムから東へ約10kmのキンデルダイク郊外にある風車群は、特別な存在と言っていいだろう。1740年頃に造られた巨大な風車が19基も立ち並ぶ姿はここでしか見られない。内部が往時を伝える博物館に改装された風車がある一方で、風車守が昔ながらの技術で保守管理している現役の風車もある。壮大かつ牧歌的な美しい景観は、まさにオランダの原風景。1997年、世界文化遺産に登録されてからは観光客も増え、世界中の人々に愛されている。現在のオランダは農業だけでなくさまざまなジャンルで最先端をいくイノベーションの国であり、建築、デザイン、ゲームなどクリエイティブ分野も高い評価を得ている。特にロッテルダムは有名な近代建築が多い。これは、第2次世界大戦で徹底的に破壊された古きよき時代の町並みを、戦後、行政と市民が一丸となって修復し、同時に当時の最新技術で都市建設に努めたことによる。キンデルダイクの風車とロッテルダムの近代建築はかけ離れているようでいて、合わせ鏡のように、どちらからもオランダ人の不屈の精神が感じられる。オランダに行ったら、ぜひ、両方に訪れてみてほしい。

オランダの天気は気まぐれで、現地の人も「予測不可能」と言うほど。雨が降ったかと思えば、すぐに晴れて写真のような美しい虹に出会えることも(左)。
風車の羽根は静止角度によって慶弔を近隣に伝える役割もあったという。夕日を背にしたシルエットも美しい(中央)。
キンデルダイクはロッテルダムから水上バスでもアクセスできる。また、夏には運河巡りのボートも運航される(右)。
WEB限定
アザーカット
Other Cut ロッテルダム建築 〜そこに息づくオランダ人の精神〜
国名 : オランダ
首都 : アムステルダム(Amsterdam)
面積 : 約4万1,864㎢
人口 : 1,747万人(2021年現在)
言語 : オランダ語
交通 : オランダのアムステルダムへは成田空港からKLMオランダ航空で約11〜12時間、料金は往復約18万円(サーチャージは別)。キンデルダイクへはアムステルダム中央駅からロッテルダム中央駅へ列車で約1時間15分、駅からはバスかタクシーを利用する。
(時期により変動あり2023年3月現在)
※上記ルート案内は一例です。
※新型コロナウイルスの影響で各国のフライト状況、料金等に変更の可能性があります。最新情報については、各航空会社の公式WEBサイトなどで確認してください。


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