8つの島からなるハワイ諸島の中で、最も大きく最も南に位置するのがハワイ島。アメリカ・ハワイ州の州都、ホノルルがあるオアフ島からは飛行機で約50分。「ビッグ・アイランド」という愛称で呼ばれる岐阜県ほどの大きさのこの島は、オアフ島のような成熟したビーチ・リゾートとは違い、地球の鼓動を感じさせる活火山、その活動で形成された溶岩台地や黒い砂のビーチ、広大な熱帯雨林など、野性味あふれる地形や豊かな自然を活かしたアクティビティがメインのリゾートだ。トレッキングやカヤック、ホースバック・ライディング、ATV(四駆バギー車)、シュノーケリングなど、どのアクティビティもちょっとした冒険気分を味わえる。なかでも外せないのがマウナ・ケアへの星空観測ツアーだろう。
マウナ・ケアとはハワイの言葉で「白い山」を意味する。標高4205m、ハワイで最も高い山には、雪の女神ポリアフが暮らしているという伝説があり、実際、冬(11〜3月)になると山頂は雪に覆われる。しかし、年間300日は晴天に恵まれ、大気中に水蒸気が少なく、周囲に明かりがないなど天体観測に適した条件が揃っていることから、アメリカの協力の下、世界11カ国がこの地に天文台や望遠鏡など13の観測施設を設置している。日本のすばる望遠鏡もその一つであり、1999年に観測を開始して以来、宇宙創生の謎に迫る数々の成果を上げている。ちなみにマウナ・ケアよりもずっと南、ハワイ火山国立公園にあるキラウエア・カルデラには、硫黄臭の強い噴煙が上るハレマウマウ火口があり、ここに火の女神ペレが住むといわれている。マウナ・ケアと並び、ハワイ屈指のパワースポットとして人気が高い。
マウナ・ケアは富士山よりも高い山だが、山頂まで車で行くことができる。標高2800m地点にあるオニヅカ・ビジターセンターまではレンタカーでも通行可能だが、その先の山頂を目指すなら現地のツアーに参加するのがベストだ。夕日を楽しむサンセット・ツアーや日の出を待つサンライズ・ツアーなど、星空観測とセットになったガイド付きのツアーなら、宿泊先のホテルまで送迎があるし、高山病対策についてもレクチャーしてくれる。
過日見た、マウナ・ケアの山頂から眺める夕暮れは、言葉では表現できないほど神秘的で美しかった。どこまでも続く雲海を染める紫色は、まるで「今日」という日を愛しげに振り返る、太陽の残り香のようだ。そして、目の前に降るような満天の星が現れる。初めて出合う雄大な宇宙を、僕は両手をいっぱいに広げて受け止めた。
編集長 植木 孝
地球の歩き方
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