世界の色図鑑

アルゼンチン共和国 ブエノス・アイレス

広大な南アメリカ大陸のなかに、パタゴニアと呼ばれる地域がある。南緯40度よりも南、アンデス山脈をはさんでアルゼンチンとチリにまたがり、面積は日本の3倍、110万㎢におよぶ。雄大な自然の宝庫であるパタゴニアには、およそ30カ所の国立公園がある。そのひとつ、アルゼンチン側の南部パタゴニアにあるロス・グラシアレス国立公園は、山梨県とほぼ同じ面積のなかに47もの氷河を有する、世界中のツーリストの憧れの場所だ。1981年に世界自然遺産に登録された。ちなみに「グラシアレス」とはスペイン語で氷河の複数形を意味する。
氷河は雪が堆積し圧縮され、氷に転化することで生まれ、長い年月をかけて溶解と再氷結を繰り返す。「温暖氷河」と呼ばれるパタゴニアの氷河はそのサイクルが短く、世界的に見てもアクティブな氷河だ。氷河の先端部では、巨大な氷塊が轟音とともに湖に崩落していくダイナミックな光景を見ることができる。
写真はロス・グラシアレス国立公園のなかでも最大といわれるウプサラ氷河。表面積は595㎢、長さ60km、先端部の幅は5〜7kmで、高さは80〜100mにもなる。まさに巨大な「氷の壁」といえるだろう。旅人がここに行くのに最適かつ唯一の手段が、プンタ・パンデーラ港から出港するクルーズ船だ。ベストシーズンである12〜3月(南半球では夏にあたる)になると、観光拠点となるエル・カラファテの旅行会社が氷河クルーズや、氷河トレッキングなどのツアーを催行する。
クルーズ船で氷河の先端から500mの地点まで近づく間に、湖には船の大きさを遥かに超える蒼い氷山が点在している。その迫力、質感、空気感、氷河が崩れるときに生じる音は、すべてここでしか体験できない。氷河のほかにはほとんど何もないし、日本からは恐ろしく時間がかかるが、わざわざ行く価値があると僕は思う。地球の息吹を感じることができる、特別な場所だから。

編集長 植木 孝


出典地球の歩き方

地球の歩き方 ガイドブック
アルゼンチン チリ パラグアイ ウルグアイ

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氷河クルーズペリト・モレノ氷河氷河クルーズは人気なので、日本から予約していくのが確実。ブンタ・バンデーラ港までの交通も込みで1万円前後。これにロス・グラシアレス国立公園の入園料(2600円前後)が別途かかる。所要時間は港を出発して5時間程度(上)。
ロス・グラシアレス国立公園のなかでも人気が高いペリト・モレノ氷河は、2つの展望台から氷河の崩落を間近で見ることができる。また、上陸できないウプサラ氷河と異なり、氷河の上を歩くトレッキングツアーも設定されている(下)。

※本サイトに掲載している記事は、発行時における情報のため、現状と異なる場合があります。(2018年6月時点)


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