チュニジア共和国はアフリカ大陸の国だが、北と東が地中海に面し、イタリアのシチリア島やマルタ共和国などが目と鼻の先にある。そのため古代から様々な民族がこの地を治め、様々な文化が花を咲かせた。中でも首都チュニスから106km南西、車で約2時間のところにある「ドゥッガ遺跡」は、北アフリカ最大の古代ローマ遺跡といわれる。イタリアをはじめとするヨーロッパ各地に残る多くのローマ遺跡と比較しても、極めて保存状態がよく、1997年にアフリカを代表するローマ・ビザンチン複合遺跡として世界遺産に登録された。ドゥッガが最も栄えたのは紀元2〜4世紀で、これは「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」という時代を経てローマ帝国が最も拡大し繁栄した時代と重なる。アフリカというと砂漠のイメージが強いが、チュニジア北部は肥沃な土地が広がっており、ドゥッガも古代ローマの穀物庫として、その経済を支えた。1万人もの人々が生活していた都市の中心部には大神殿「キャピトル」がそびえ、その脇には市民のオープンスペースである「フォルム」があり、さらに市場や住宅、浴場、広場、小神殿、劇場、闘技場、貯水場などが機能的に配されていて、遺跡の中を歩くと当時の喧噪が聞こえてくるようだ。紀元168年に建設された3,500人収容の劇場は、改修工事が施され、現在、毎夏に催される音楽フェスティバルの会場として使われている。当時の人の気分に浸れるよい機会だと思う。
さて、チュニジアは南部に行くと、ミステリアスな魅力に満ちた砂漠の国らしい光景と出会うことができる。そのいくつかが『スター・ウォーズ』のロケ地となっていることは、ファンの間でも知られている。例えば「ショット・エル・ジェリド」という北アフリカ最大の塩湖周辺は、『エピソード4』で多く登場、アトラス山脈の麓のシディ・ブフレルという村には「スター・ウォーズ キャニオン」と親しまれる切り立った谷がある。古代ローマの遺跡と合わせて、足を延ばしてみてはいかがだろう。
地球の歩き方
編集長 植木 孝氏
地球の歩き方 ガイドブック チュニジア
チュニスの旧市街、カルタゴ遺跡、ドゥッガ遺跡など、世界遺産を巡る旅では、様々な文化が融合する、壮大な歴史がうかがえるだろう。(チュニジアへの渡航前には、外務省の海外安全ホームページなど、現地情報の事前の確認をおすすめします)
定価 2,052円(税込)
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