北米と南米をつなぐ細長い地峡の付け根に位置し、カリブ海に面するベリーズは1981年に独立した新しい国。面積は四国よりやや大きく、人口は約38万3,000人。イギリス連邦の加盟国で中米7カ国のうち唯一、英語を公用語としているため旅行者に人気が高く、豊かな自然や古代遺跡など観光資源に恵まれていることから、「カリブの楽園」と呼ばれている。5〜10月が雨季、11〜4月が乾季にあたり、スコールや蚊が少なくハリケーンも来ない乾季の方が観光には適しているといえるだろう。
僕がこの国で魅力を感じるのは美しいサンゴ礁だ。オーストラリアのグレート・バリア・リーフに続き世界第2位の規模を誇るベリーズ・バリア・リーフは1996年、世界自然遺産に登録された。ベリーズ・バリア・リーフを構成する7つの保護区はいずれも透明度が高く、何種類ものサンゴや色とりどりの魚の群れ、ウミガメ、エイ、イルカ、マナティなど多様な海の生き物を見ることができるため、世界中のダイバーが憧れるダイビングスポットとなっている。保護区のひとつ、ライトハウス・リーフにある「ブルー・ホール」は、まさにそのシンボル的なスポット。直径約300m、深さ約130mの巨大な海の陥没穴で、周囲を深さ平均3mのサンゴ礁で円形に囲まれている。あまりに不思議な景観から「海の怪物の寝床」とも呼ばれている。「ブルー・ホール」に行くなら、ベリーズ最大のリゾートアイランド、サン・ペドロからがベターだろう。ここから「ブルー・ホール」へのダイビングやスノーケリングのツアーが数多く出ている。全体像を見たいなら、ベリーズ・シティからの遊覧飛行ツアーがおすすめだ。所要時間は1時間ほど。ベリーズ・バリア・リーフの一部や「ブルー・ホール」の上空を小型セスナで巡る。
少し贅沢だが、海と空、両方のアプローチを体験すると、より「ブルー・ホール」のスケールの大きさと、「カリブの宝石」という呼称にふさわしい神秘的な美しさを堪能できると思う。そして、僕は待つ。巨大な海の怪物が、のんびり昼寝をしにやってくるのを。
国土の約60%(2016年のデータ)が熱帯雨林のベリーズ。密林には見応えのあるマヤ遺跡が点在している。その中で最も規模が大きいのがラマナイ遺跡。紀元前500年頃から16世紀まで栄えたといわれ、何百もの建造物が確認されている。写真はそのひとつで石積が美しいジャガー寺院(左)。
ラマナイ遺跡に行くには、ベリーズ・シティの北約45㎞にあるオレンジ・ウォークからのクルーズ・ツアーがベスト。川をさかのぼる途中で野鳥やワニ、サルなどが見られる(中央)。
ベリーズ動物園ではベリーズの国鳥トゥカン(サンショクキムネオオハシ)をはじめ、約125種類の哺乳類や鳥類を見ることができる(右)。
地球の歩き方 ガイドブック
中米
グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマの7カ国を収録。マヤ遺跡、伝統を守る先住民、カリブ海リゾート、熱帯雨林の動植物とふれあうエコツアーなど、多彩な魅力をガイドします。
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