古代ギリシャ文明は、文字、思想、芸術、文学、建築など、後の世に大きな影響を与えた。例えばオリンピックが古代ギリシャのオランピア発祥であることはよく知られている。また、14世紀にイタリアではじまり16世紀までにヨーロッパ全土に広がったルネサンスは、ギリシャ神話の神々や英雄が好んで題材にされ、根底に古代ギリシャへのあこがれがあったことが伺える。
現在のギリシャには、古代の繁栄を伝える遺跡や中世の歴史的な建造物など18の世界遺産があり、それらや伝統的な町並みを活用して観光業を主要産業のひとつにしている。風光明媚な海岸や島々を巡るクルーズも、世界中のハネムーナーや観光客に人気が高く、ギリシャに行ったらぜひ体験したい。
エーゲ海にはミコノス島、クレタ島、ロドス島、ディロス島など魅力的な島々が点在するが、僕が最も気に入っているのが、サントリーニ島だ。紀元前3000年頃、クレタ島からミノア人が移り住み発展したが、紀元前1500年頃の大噴火により崩壊し、現在の三日月形の地形になった。この出来事が幻のアトランティス大陸の伝説として語り継がれたのではないかという説もある。
島の中心はフィラという町。ブルードームの教会と強い日差しを避けるために石灰で塗られた白壁の家並みがエーゲ海に映えて、絵のように美しい。青はキリスト教では聖母マリアの色とされている。確かにこの風景を眺めていると聖母に抱かれているかのような安らぎと懐かしさを感じる。
フィラからバスで島の北端まで足を延ばすと、イアという小さな町に着く。青い海が暮れゆく太陽でオレンジ色に染まっていく光景は、「世界一の夕日」と称されていて、一見の価値がある。
夕日の後は、きどらないレストランで新鮮な魚介料理を楽しみたい。個人的経験ではイカのオリーブ焼きが忘れられない。約3500年の歴史を誇るミネラル豊富な島特産の白ワインともよく合う。酒と豊穣の神バッカスに導かれ、再びあの地を訪れたいものだ。
切り立った赤茶色の崖の頂上に、積もった雪のように白壁の家々が輝く。島には大型船が接岸できる大きな港がないため、小型ボートに乗り換えて崖下の港に上陸する(左)。
アップダウンが激しい島内では、ロバは重要な交通手段。伝統的なロバタクシーは、ゆったりとした足取りで人や荷物を運ぶ(中)。
フィラの町中にあるホテルのテラスからの景観。眼下に美しい町並みが広がる。周辺にはおしゃれなカフェやレストラン、土産物屋が軒を連ねていて、散策が楽しい(右)。
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